会社の経費を個人のクレジット カードで払うときの問題

      2020/10/14

会社の経費を個人のクレジット カードで払うときの問題会社の経費、あなたはまだ現金で立て替えていますか?

仮払いや立てえ替払いで現金を使っていた時代はむかしのものになりつつあります。

会社の経費のクレジットカード払いの基本は法人カード(法人向けクレジットカード)ですが、状況によっては社長個人のクレジットカード、従業員個人のクレジットカードで払う場面も出てきます。

現金ではなく個人のクレジットカードで会社の経費を立て替えをしている状態ですね。

今回の記事では会社の経費を個人のクレジットカードで払うときに気をつけなくてはいけない点、問題になる点を調べていきます。

そもそも法人カードと個人カードの違いって何?」って思った人はこちらの記事をどうぞ
→クレジットカード「個人カード、法人カード」の違いを徹底的に解説 

目次(見たいポイントに直行)

備品購入など会社の経費を個人のクレジットカードで支払ったら

社長個人のカードで会社の経費を支払ったら

会社の備品などの買い物を社長個人名義のクレジットカードで払ってもなんら問題はありません。
仕訳のときにちょっと面倒になるくらいです。

つまり社長個人が経費を立て替えて払ったにすぎません。
現金で立て替えたのではなくクレジットカードで立て替えたという形です。

税務署に対しての問題は一切ありません。

従業員の個人カードで会社の経費を支払ったら

こちらも同様です。
会社の備品購入を現金で立て替えたのではなく従業員個人のクレジットカードで立て替えたという事。

従業員のETCカードで社用の交通費を支払ったら

ETCカードでも同じことです。
仕事で使った高速代を従業員個人のETCカードで立て替えをしたという事ですね。

ETCカード立て替え分を精算するときはETC利用照会サービスを使うと明確に出来ます。
ETC利用照会サービスについてはこちらの記事で解説しています。
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個人事業主が個人カードで経費を支払ったら

個人事業主の場合、引き落とし先が法人口座になる本格的な法人カードは作れません。
個人事業主向けの法人カードというものもありますが引き落とし先は個人口座なのでこれも個人カードとみなせます。

プライベートで使っているカードだろうと事業専用に使っているカードだろうと自分の個人的な事業に対して自分の個人カードを使うわけですからなんら問題はありません。
関連記事;個人事業主向けクレジットカードのおすすめは

経理上の処理(仕訳)

経理上の処理(仕訳)はクレジットカードで払ったさいの利用明細(クレジットカード売上票)を使い、基本は現金での立て替えと同じような経費精算を行います。

会社備品の買い物を社長の個人名義のクレジットカードや従業員個人のクレジットカードで支払った分は後からわかるように、その事を帳簿に書いておくといいですね。

立て替えが何回もある場合はその都度の記帳ではなく月ごとに送られてくるカード会社からの利用明細を基にまとめて計上しても大丈夫です。

会社の経費をクレジットカードで払った時の領収書問題

アマゾン、ヤフー、楽天などネットショップの領収書

ネットショップの買い物では基本、領収書は出ません。

取引明細、納品書などが取引記録になる

小さなショップでも商品に付いてくる納品書などが取引記録として使えます。
実際に送られて来た商品と一緒に取引明細や納品書が入っている場合はそれを領収書として使えます。

レシートでも領収書のかわりになるか?

買い物をしたお店で発行されるレシートに次のことが明記されていれば領収書として使えます。

●書類の作成者の名称
●商品やサービスを購入した日付
●購入した商品やサービスの内容
●購入金額
●書類を発行される者の名称

国税庁による説明でも上の項目が記載された書類は「消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当する」としています。

定期券をクレジットカードで買った時の領収書

「支払い方法はクレジットカードによるもの」と但し書きされた利用明細が出ます。

病院でクレジットカードを使った時の領収書

最近の病院は自動精算機でカード決済OKのところも増えています。
ここも同様に「支払い方法はクレジットカードによるもの」と但し書きされた利用明細が出ます。

クレジットカード払いの領収書に印紙は必要?

「支払い方法はクレジットカードによるもの」と記載(但し書き)されていれば、印紙は必要ありません。
これは実際に金銭の受け渡しがない信用取引だからです。

クレジットカード払いの領収書は保管すべき?

クレジットカードで払ったさいのレシートや利用明細(クレジットカード売上票)は毎月のカード会社から送られてくる利用明細とつきあわせて仕訳するまではかならず保管しておくべきですが、その後も「仕入税額控除」の額を証明するのに必要になる事があります。

仕入税額控除

仕入れで相手方に支払った消費税分を控除してもらう「仕入税額控除」というものがあります。

これを計算するにはクレジットカード会社の利用明細ではだめで、クレジットカードで支払ったときのお店などからもらうレシートや「ご利用明細(クレジットカード売上票)」をもとに計算します。

支払いをした相手が発行したものでないとだめなので、

●クレジットカード会社の利用明細
カード会社が立て替えた金額の明細

●支払ったときのお店などからもらうレシートや「ご利用明細(クレジットカード売上票)」
実際にそのお店に支払った金額の明細

という事でレシートや「ご利用明細(クレジットカード売上票)」でないとだめなのです。

確定申告のときに「ご利用明細」を提示しないとだめという事ではないです。税務調査に入られたときに「仕入税額控除」を何を元に計算したかを証明するために必要になるからです。
クレジットカード会社の利用明細では「仕入税額控除」は認められません。

 

詳しくは

経費の支払いで得たクレジットカードポイント




経費の支払いで貯まるポイントについてみていきましょう。

会社経費を個人のクレジットカードで払って貯まったポイントは誰のもの?

会社の備品の購入などを個人のクレジットカードで払って貯めたポイントを自分のものにしていいのか?

基本的には現金で立て替えをしたのと同じと考えれば自分のものにしても問題はありません。

しかし次のようなケースでは

  • 会社の就業規則で「経費立替によるクレジットカードポイントは会社に帰属する」となっている場合
  • 高額な経費の支払いで高額なポイントを得た場合

会社に確認をした方がいいでしょう。

会社関係の買い物や会社経費の支払いは高額になることも多くポイントはたくさん貯まりますよね。
自分のものにしたいところですがトラブルを避けるためにも会社の就業規則はチェックしておいた方がいいですね。

マイルに関して

マイルは航空会社のマイレージプログラムに登録しないと付与されません。
マイレージプログラムに登録出来るのは個人だけです。

さらに言うとクレジットカードを使って航空券を購入してもマイルはつきません。
飛行機に搭乗したときに個人のマイレージプログラムカードにマイルが貯まるのです。

出張で飛行機に乗ったことによる個人のマイレージプログラムカードのマイルの扱いについてはそれぞれの会社の規定による、と考えた方がよさそうです。

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個人事業主がクレジットカード払いで得たポイントの仕訳

クレジットカードを使って貯まったポイントは会計処理上では「雑収入」として扱われます。
しかしポイントをきっちりと「雑収入」として仕訳しているかというとほとんどの個人事業主はやっていません。

大手の企業であればポイントも高額になるので福利厚生費として使ったりします

法人カードのポイントの会計処理

法人カード(法人向けクレジットカード)の毎月の利用額に対するポイントを「雑収入」として計上してしまうと、ポイントを使うときも会計処理が必要です。
経理処理を効率化させるために法人カードを使っているのに逆効果と言えますね。

税務調査でもクレジットカードのポイントにチェックが入ることはまずないので法人カードを使って貯まったポイントは会計処理しない事が多いです。

関連記事

あらゆるビジネスシーンをバックアップする便利でスマートなJCB法人カード

デビットカードで経費を支払う

クレジットカードではなくデビットカードで経費を支払うケースではどうでしょうか。

法人向けのデビットカードは法人向けクレジットカードと同じような使い方が出来る

みずほ銀行の法人デビットカードは一つの口座に対して10枚まで作ることが出来ます。

経費の決済用として従業員に持たせる事ができるんです。

デビットカードでの領収書

デビットカードはクレジットカードとは違ってその場で現金の受け渡しをしたのと同じ経理処理がされます。
仕訳は

雑費 500 普通預金 500

のようになります。

即時決済のデビットカードでは記帳のさい、未払金扱いなどはしません。

国税庁はレシートに関して

販売代金の受領事実を証明するために作成、交付していると認められますので、第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当します。
引用元:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/08.htm

という判断をしています。

つまり即時決済のデビットカードではレシートが領収書として機能します。

法人デビットカード

代表的な法人デビットカードをふたつ紹介します。

法人デビットカード みずほ

クレジットカードと同様にインターネットショッピングでつかうことができます

●世界中のVisa加盟店でつかえる
●10枚まで作れる
●海外旅行傷害保険
●デビットカード盗難保険

→みずほビジネスデビット

楽天銀行ビジネスデビットカード(JCB・VISA)

●JCB加盟店でつかえる(JCBブランドを選択した場合のみ)
●キャッシュカード機能なしのデビットカードが最高9,999枚まで作れる。
●盗難保険なし

楽天デビットカードを作るには楽天銀行の口座を作ってください。

→楽天銀行

クレジットカード払いの経費精算




クレジットカードを使えば仮払い、実費精算の手間はなくなります。

クレジットカードを使えば小口現金はいらなくなる

社長や従業員が会社で必要なものを自分のクレジットカード(現金でもいいのですが)で立て替えたとき、会社からはその分を現金で支給したりしますよね?小口現金というやつです。

クレジットカードを使えば小口現金はいらなくなるのです。

会計処理は原則、発生主義

発生主義では引き落とし時ではなく利用した時に経理処理を行う。

先に未払金勘定で経費を計上しておき、普通預金から引き落としになったときに、未払金を相殺する。

経費精算システムを利用する

経費精算システムとは、経費精算の作業をクラウド上で行えるシステムです。

領収書レシートの自動入力・読み取り機能など。

会社から支給されたクレジットカードによる横領

社員名簿をカード会社へ提出して社員名義のクレジットカードを作り、それを経費支払い用のカードとして支給します。
正しく使ってくれるといいのですが・・・

従業員によるクレジットカードの不正使用は横領にあたるか?

従業員にクレジットカードを支給したときの一番の問題は不正使用です。
これは横領にあたるのでしょうか。

おそらく、刑事事件化するには、なかなか厳しいと思われます。
他方、民事で、不法行為に基づく損害賠償請求をすることは可能と思います。
引用:弁護士ドットコム https://www.bengo4.com/c_1009/c_1207/b_533818/

会社の買い物と称して自分で使うものを買っている不届きな社員もなかにはいるでしょう。
悪質な場合はまず「民事で訴えるよ」と伝えましょう。脅しですね。

話し合いで横領分の返金などに応じるかもしれません。
それでもだめだったら本当に民事訴訟に持ち込むしかないかもしれません。

クレジットカード支払いの仕訳

クレジットカードで経費を支払ったとき、実際に口座から引き落としになるのは1、2ヶ月先です。
会計処理はどのようにやるのでしょうか。

確定申告の仕方は白色申告・青色申告の2つがあります。クレジットカードで経費を支払った時の仕訳(帳簿のつけ方)は白色申告と青色申告では大分変わってきます。

白色申告

白色申告は単式簿記で記帳するのでシンプルです。

収入 支出
購入日 消耗品費 2,000円

実際に引き落としになるのが1、2ヶ月先でもただ購入日に支出分を記帳するだけです。

青色申告

青色申告はより詳細な帳簿(複式簿記)が必要となっていてその分税金の控除が受けられます。

青色申告では10万円、または65万円の控除があります。(10万円控除の場合は単式簿記でよい)
課税される金額から10万円、または65万円を引く事が出来ます。

65万円の控除を受けるには条件がある。

●複式簿記で記帳していること
●現金主義でないこと
(他にも条件があるのですが仕訳に関係するのはこの二つです。)

複式簿記

帳簿のつけ方で単式簿記と複式簿記がある。
単式簿記は使い道と金額という単純な記帳のやり方。
それに対して複式簿記は取引きの流れをより詳細に記帳するものです。

現金主義でないこと(発生主義)

現金の動きがあったときだけ記帳するのが現金主義。
それに対して現金の動きがなくても取引が発生したら記帳するのが発生主義。
複式簿記は発生主義で記帳します。

複式簿記での仕訳(記帳)

個人のクレジットカードで払った場合。

借方 貸方
購入日 消耗品費 2,000円 事業主借 2,000円

事業主借にして購入日にだけ記帳します。

 

会社のクレジットカードで払った場合。

借方 貸方
購入日 消耗品費 2,000円 未払金 2,000円
引き落とし日 未払金 2,000円 普通預金 2,000円

会社のクレジットカードで支払った場合、購入日には現金が動いていないので消耗品費2,000円を未払金2,000円で払ったという形になります。
引き落とし日にはその未払金2,000円を会社の普通預金口座から引き落としたという形になります。

厳密にはこのように購入日と引き落とし日の2回に分けて仕訳しますが引き落とし日だけの仕訳(記帳)にすることも認められています。

 

事業の経費をクレジットカードで支払った場合の仕訳のやり方はこちらの記事でも詳しく扱っていますので参考になさってください。

まとめ

会社の経費を個人のクレジットカードで払う時の

●立て替えの問題
●領収書の問題
●仕訳の問題
●経費精算の問題
●クレジットカードポイントの問題
●経費精算の問題

などについて調べてみました。

仮払い、立替払いで現金を使っている方、これからどんどんキャッシュレスの時代になっていきます。
クレジットカード払いを検討してみたらいかがですか。

あらゆるビジネスシーンをバックアップする便利でスマートなJCB法人カード


以上「会社の経費を個人のクレジット カードで払うときの問題」という記事でした。
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