仕入れその他経費をクレジットカードで払ったときの領収書問題
2020/10/24
事業の支払いにクレジットカードを使う個人事業主・経営者が増えています。
その場合気になるのがクレジットカード払いのときの領収書の事。
状況によって領収書が出たり、出なかったりで困ります。
さらに業態によってはネットでの取引が多くなりますのでアマゾン、ヤフー、楽天、アリエクスプレス(AliExpress)などでの領収書問題があります。
そして小さなストアでは?
さらにはメルカリで在庫を調達する人もいます。
そういう場合の領収書の問題もあります。
クレジットカード払いのときの領収書問題で一番心配になるのが確定申告のときだと思います。
領収書がない事で高額な仕入れ代金を経費に計上出来なかったらかなりまずいですよね。
この記事では
- クレジットカード払いの時、領収書が出なかったら?
- カード会社の利用明細は領収書になるか?
- ネット取引の領収書は?
これらの問題について解説していきます。
目次(見たいポイントに直行)
クレジットカード払いの時の領収書
実は厳密にいうとクレジットカード払いのときは領収書を発行することは出来ません。
取引の記録
領収書は取引の記録なのです。
たとえば文房具店からコピー用紙を買った。
その場合、支払いをしたあなたに対して売った文房具店から領収書を発行することが出来ます。
これが現金であれば、その場で取引は完了しているので問題ありません。
しかしクレジットカードの場合、信用取引なのでその時点では、あなたはお金を払っていないし、お店側も貰っていません。取引は完了していないのです。
そこでお店側は「利用控え」と「レシート」を渡すわけです。
「エッ!でも領収書もらってるけどな〜」というあなた。
そうなんです。わたしもクレジットカードで支払いをするとなにも言わなくても領収書をもらう事が多いんです。
これは領収書を要求するお客さんが多いため、便宜上お店側が発行するようになったためです。
その領収書、残念ながら実は機能しないんです
クレジットカードの場合、信用取引なのでお店側は領収書を発行する義務はありません。
その領収書、よく見てください。
「但し書き」として「クレジットカードの支払いによる」って書いてあるはずです。
「クレジットカードの支払い」と但し書きのある領収書は領収書本来の機能を果たしません。
5万円以上の領収書は収入印紙を貼らなくてはいけないのですが「クレジットカードの支払い」と但し書きのある領収書はその必要がありません。
つまり正式な領収書ではないからです。
クレジットカード払いの時の取引の記録は利用控え・レシートでOK
クレジットカードで払ったときにもらう領収書はいうなればダミーだということがわかりました。
じゃあ取引の記録はどうするの?
店舗などでの支払いでは利用控え・レシートがもらえるはずです。
これが取引の証拠になります。
ネット取引のときの領収書
今の時代、ネットで様々なものが買えます。
クレジットカードを登録しておけば支払いはとてもスピーディー。
わたしもこれにはかなり依存していて、気をつけていないと余分なものも買ってしまいます。
さらに中国の大手企業「アリババ」運営のアリエクスプレス(AliExpress)などで商品を安く仕入れてネット上で商売をしている人もいます。
アリエクスプレスなどのような通販サイトでは領収書は発行されません。
このようなネット取引のときの領収書はどうするんでしょうか。
取引明細、納品書などが取引記録になる
小さなショップでも商品に付いてくる納品書などが取引記録として使えます。
実際に送られて来た商品と一緒に取引明細や納品書が入っている場合はそれを領収書として使えます。
商品発送メールなども利用履歴として使えます。(スクショを撮っとくのもアリ)
大手ショップの対応状況は次のとおり↓
Amazon
Amazon.co.jpでの注文の領収書/購入明細書は、印刷することが出来る。
領収書は、商品発送後、注文履歴に表示される。
Yahooショッピング
Yahooショッピング自体には領収書発行機能はない。
商品を買った後に各ストアから領収書発行用のURLをメールで送ってもらって、そこから自分で領収書をダウンロード、または印刷する。
商品を買ったストアは注文履歴一覧から探す。
楽天市場
楽天市場自体には領収書発行機能はない。
クレジットカードの利用明細と、注文確認のメールをプリントアウトして、
セットすれば、税務処理上問題なく処理ができます。
どうしても領収書が欲しいときは商品を買ったショップに発行してもらいます。
ショップの連絡先は、「購入履歴」で確認。
アリエクスプレス
支払い完了メールが来るので保存。購入履歴のデータも保存。
それを元に仕訳をします。
為替レートの変動で取引画面の金額(円表示)と実際の口座から引き落とされる金額が違う場合は決済時に差額を為替差損益として処理する。
その他
メルカリ
メルカリはメール設定をしてないと入金の確認メールが来ません。
メール設定をしてない人はメニューから
「購入した商品」→「過去の取引」→「購入した物を選択」→「取引画面」
の「取引情報」に品物・金額・購入日時があるのでそれをスクショしてプリントアウトすると良い。
その他メルカリの領収書問題に関してはこちら↓
Suica
Suicaだったら利用明細をJR東日本のサイトで確認してプリントアウト。
ペイパル
ペイパルの場合は入金後「入金を確認しました」という旨のメールが届くのでそれを、プリントアウトもしくはスクショ(スクリーンショット)。
カード会社の利用明細は領収書として使えないの?
毎月発行されるカード会社の利用明細。
郵送されて来るものを見るかカード会社のWEBサイトで確認できます。
これを見れば金額・場所がわかって便利なんですが、結論から言うとカード会社の利用明細は「WEB明細でも郵送されてきた紙の明細でも」領収書として使えません。
いまでは、どこのカード会社でもWEB明細が用意されていますよね。
WEB明細のような電子データならクラウド会計ソフトと連携させる事が出来る。
これは経理の作業効率を格段にアップさせますが、これを領収書として使えるかというとだめなんですね。
なぜか?
国税局の説明によると
国税局ページからの引用
クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。
前の方でも説明しましたが、領収書は当事者が発行するものなんです。
個々の商取引の当事者はあなたが支払いをした店舗やネットショップであってカード会社ではありません。だから消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しないという事なんです。
カード会社の利用明細はあくまでもカードを利用した記録でしかないのでそれを領収書のかわりにする事は出来ません。
これに対して
国税局ページからの引用
しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。
この「ご利用明細」等には、
1・その書類の作成者の氏名又は名称
2・課税資産の譲渡等を行った年月日
3・課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
4・課税資産の譲渡等の対価の額
5・その書類の交付を受ける者の氏名又は名称
これらが記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。
カード払いをしたときに貰える、ご利用控えやレシートは消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当する条件を満たしている事が多いのです。
結論は
カード会社から毎月発行されるご利用明細では領収書にはならない。
カード払いをしたときに貰える、ご利用控えやレシートは領収書として使える。
こういう事になります。
そもそも経費を計上するのに領収書は必要なのか?
いまさらですが、ここまで来て「そもそも領収書なんているの?」という話です。
社員が会社のための買い物をしてその分を立て替えたときは必ず領収書がいりますよね。
それがないと自分が立て替えた分を払ってもらえなくなるからですよね。
じゃ個人事業主、経営者の場合は仕事のための買い物をした領収書はどこで使うの?
というと確定申告のときです・・・と思いますか?
違うんです。
確定申告のとき私も領収書の束を持っていっていました。
しかし、そこでいちいち領収書をチェックする事などはありません。
持っていく必要はなかったんです。
じゃどこで必要になるの?
「税務署の調査」って聞きますよね。
いわゆる抜き打ちで来る税務調査です。
税務署の調査
実際に利益がたいして出ていないうちは心配することはありませんが、結構な割合で「税務署の調査」というものは入ります。
このときに領収書(利用控え・レシートなども含め)が必要になるのです。
事業のお金の流れを証明する記録が必要になるのです。
証明する記録がなく経費が認められなくなると追加の納税ということになってしまいますよね。
クレジットカード の支払い時の利用控え・レシートを取っておくのはこの時のためなんです。
書類によって5〜7年前のものまで保管しておく必要があります。
遡って調査するのは通常3年前までですが、問題が見つかると5年前までの記録を調査されます。
さらに意図的に脱税したことが判明すると7年前まで遡って調査されます。
念のため7年前のものまで保管しておくいいんじゃないでしょうか。
まとめ
この記事でわかった事をまとめます。
- 個人事業主・経営者が事業のための支払いをクレジットカードでしたときは「利用控え・レシート」を保管しておく。
- ネットでの取引きのときは利用明細や確認メールなどのダウンロード・プリントアウト・スクリーンショットなどで保管しておく。
- なぜ「利用控え・レシート」を保管しておくかというと、最終的には税務調査に入られて仕入れ代金などが経費と認められなかったら困るので、その証拠を残しておくため。
以上が仕入れその他経費をクレジットカードで払ったときの領収書問題のまとめなのですが、気をつけなければいけないのは、私用と仕事用を一枚のクレジットカードにしている場合。
確定申告のときも「よりわけ」が大変だし、税務調査に入られたら説明が大変になる。
最低でも私用とは別に仕事専用のカードを作っておいた方がいいですね。
できれば法人カードにして、引き落とし口座も私用とは分けておくと、もっといいです。
比較的審査がきつくない個人事業主用の法人カードもありますし、法人の経営者でも本人確認書類だけで作れる法人カードもあります。(通常、法人向けクレジットカード発行には会社登記簿が必要)
以上「仕入れその他経費をクレジットカードで払ったときの領収書問題」という記事でした。
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