クレジットカード「個人カード、法人カード」の違いを徹底的に解説

   

個人カードと法人カードの違い個人事業主または会社経営者のあなた、
まだ個人のクレジットカードで経費を払っているんですか?

薄々感づいてますよね。
このままだとクレジットカード利用明細から経費分を取り出して仕訳をしなければいけないんですよ。

法人カードを作らないといけないタイミングなのではありませんか?

結論からいうと会社経営者はもちろん、個人事業主でも(法人向けクレジットカード)法人カードを作ったほうが絶対に便利です。

法人カードがよくわかっていない。
わかっているけど作るの面倒。
審査が厳しいと思っている。

こういう人にクレジットカードの「個人向けカード、法人向けカード」の違いを徹底的に解説していきます。

法人カードだから出来ること
法人口座が使える
社員カードの発行
ビジネス向け付帯サービス

 

法人カードと個人カードの違い

法人カード(法人向けクレジットカード)と個人カード(個人向けクレジットカード)の違いをあげると

●審査対象
●限度額
●引き落とし口座
●経費の支払い
●追加カード
●付帯サービス
●キャッシング・分割払い・リポ払い
●ポイント還元率

これらの点で違いがあります。
ひとつひとつみていきましょう。

まずは基本的な違いから。

審査対象

クレジットカードを申し込むと審査があります。
ちゃんと利用料金を払ってくれるかどうかの信用審査ですね。

カード会社・銀行など各金融機関はデータとして個人の信用情報を共有しています。
もしあなたが過去に利用料金を延滞などしていたらそのデータは各金融機関に知られていますよ。
クレジットカードのみならず携帯電話・電気・水道などの料金延滞も含まれています。

個人カードの審査対象

当然ですが個人カードの審査対象は申し込んだ本人です。
本人の信用情報を審査します。

ネットからの申し込みで数十分で審査が終わりカード発行のメールが来て完了。
あとはカードが郵送されてくるのを待つばかり。

このように個人カードは簡単に作れるという印象がありますよね。

法人カードの審査対象

法人カードの審査対象はふた通りあります。

法人(会社)として申し込む

審査対象:法人

登記簿や決算書などが必要。つまり法人(会社)としての信用度の審査。
倒産リスクなどを審査します。

法人(会社)での利用は額が大きくなるため貸し倒れになるリスクを考慮して審査は厳しめになるのが一般的ですね。

必要書類を郵送する手間があるので時間がかかります。

経営者個人として申し込む

審査対象:経営者個人または個人事業主

経営者個人の信用情報を審査します。
会社や事業の業績は問わないタイプ。

経営者個人または個人事業主として個人の信用情報を審査します。

あくまで個人の信用情報で審査をするので会社や事業が赤字、または起業したばかりで業績をあげていない状態でも審査に通ります。

最近多くなっている本人確認書類のみで作れる法人カードなどはこのタイプですね。

引き落とし口座

法人口座を持って運営している会社なら法人カードでないと法人口座引き落としは出来ませんよ。

個人カードの引き落とし口座

これは当然、個人で持っている口座ですね。
個人カードの引き落とし先に法人口座は指定出来ません。

法人カードの引き落とし口座

カードによっては法人口座しか使えない場合もありますが最近の法人カードの引き落とし口座としては3種類設定できます。

●法人口座
●経営者個人口座
●屋号口座

税の申告時に有利なのは当然法人口座になります。

個人事業主なら経営者個人口座または屋号口座になりますね。

経費の支払い

基本的に個人カードでも法人カードでも経費の支払いは出来ます。

しかし経理上の処理では大きく違いが出ます。

個人カードで経費の支払い

個人カードしか持っていない人で事業をやっている人はそれしかないので経費も個人カードで払う、結果仕訳が面倒になってしまう。

個人カードで経費を払ってしまうと個人のお金で立て替えをしたことになります。

経理上は立て替え金の清算をしなければいけません。

法人カードで経費の支払い

法人カードはもともと経費の支払いが出来るように作られています。

仕訳の仕方も直接的でわかりやすい処理になります。

法人カードを持っている人は大抵個人カードも持っていますよね。ビジネスとプライベートで使い分けるのがうまいやり方です。

追加カード

クレジットカードの追加カードは一般的には親カードと同じ機能を持つ子カードとETCカードがあります。
それぞれ引き落とし先は親カードの口座です。

個人カードの追加カード

親カードと同じ機能を持つ子カードは家族カードといいます。

生活を共にする家族にのみ発行出来るカードです。

ETCカードも親カードと紐づいているものとは別に家族カードに紐づいているものも作れます。

法人カードの追加カード

親カードと同じ機能を持つ子カードは社員カードといいます。

法人(会社)の役員・従業員にのみ発行出来るカードです。

ETCカードも親カードと紐づいているものとは別に社員カードに紐づいているものも作れます。

これは引き落とし先が会社の口座になっている社員名義のクレジットカードとETCカードが追加で作れるという事ですね。

社員が出張先のホテル代をカードで払う、高速代をETCカードで払う、こういう時には必要になります。


社員名義のクレジットカード(会社口座引き落とし)

 


社員名義のETCカード(会社口座引き落とし)

 

付帯サービス

付帯サービスを主なものに分けると

●保険
国内・海外旅行損害保険やショッピング保険

●各種サービスの優待
空港ラウンジの使用など

この二つになります。

法人カードの場合、社員カードを持たせた社員が出張先などで事故にあった場合、手厚い補償が受けられる保険が付いていると安心です。

法人カードの各種サービスはビジネスに特化したものになっています。

・クラウド型経理精算ソフトサービス
・レンタルオフィスや会議室、ビジネスラウンジの利用
・飛行機や新幹線の手配を代行してくれる執事サービス
・税務相談・法律相談ができる専門家の紹介サービス

 

100%無料で使えるものと割引価格で使えるサービスがあります。

キャッシング・分割払い・リポ払い

基本的に法人カードではキャッシング・分割払い・リポ払いは出来ません。
(一部のカードでは出来るものもある)

個人事業主向けの法人カードでは出来るものがあります。三井住友ビジネスカードfor Ownersなどですね。

ポイント還元率

個人カードではポイント還元率1.0%またはそれ以上になるものがありますが法人カードでは最低還元率の0.5%の場合がほとんどです。

それでも法人カードの場合、年間で見れば利用額は大きくなるので還元率の0.5%でも結構ポイントはたまりますよ。

家賃・光熱費・税金なども法人カードで支払いをすれば大きなポイントゲットになります。

 

法人カードを使うメリット・デメリット

ビジネスで法人カードを使うメリット・デメリットを解説します。

法人カードを使うメリット

「経費」の項で説明しましたが個人カードをビジネスで使ってしまうと「立て替え」をした状態になり貸し借りが発生します。

それを仕訳するのに手間がかかります。

法人カードなら最初から会社をお金を使っているので問題はありません。

 

個人カードをプライベート、ビジネス両方で使ってしまうと切り分けが面倒な事になります。
これは大きいですよ。

いちいち利用明細からビジネス分を抜き出して仕訳するのは大変です。

法人カードを使い、さらにクラウド型経理精算ソフトを使っていればほとんど自動で経理処理が出来てしまうので、その違いはかなり大きいです。

貴重な時間を有効活用出来ますよね。

法人カードを使うデメリット

ビジネスで法人カードを使うデメリットはほとんどないといってもいいかもしれません。

・法人(会社)が審査対象になるカードだと審査が厳しい。

・ポイント還元率が最低ランクの0.5%

・年会費無料のカードはほぼない。

これくらいだと思います。

個人カードの年会費無料はたしかに助かりますが法人カードの年会費は経費として申告出来ますよ。

デメリットの少なさを考えると法人カードはやはりおすすめ!

法人カードの選び方

ここから初めて法人カードを作る方に向けて選び方のポイントを解説していきます。

法人カード選び方のポイントは次の4つ。

●限度額
●追加カード
●付帯サービス
●ポイント還元率

限度額

事業に使うクレジットカードは限度額が大きいものでないと使い物になりません。

特に社員カードを何枚も発行する場合は限度額は重要です。

個人カードでは限度額100万円でも問題なさそうですが、法人カードではそうはいきません。

社員カードを3枚発行すると親カードを含め4枚になります。

単純に割ると一枚づつの限度額は25万円しかありません。

限度額に余裕のある法人カードを選ばなくてはいけません。

追加カード

法人カードでは社員に渡す追加カードは重要です。

カードによって発行できる追加カードは変わってきます。

4枚程度しか追加カードが発行出来ないものもありますから会社の規模にあったカード選びが必要です。

付帯サービス

出張先の事故でも十分に対応出来る補償が用意されているカードを選びましょう。

ビジネス向けのサービスは自社の状況にあわせて使い勝手のいいものが必要になります。

ポイント還元率

法人カードのポイント還元率は良くて0.5%です。
なかにはポイントがまったくつかない法人カードもあるので注意してください。

還元率が低くても事業に使うため利用額が大きくなる法人カードはポイントが貯まるものの方が当然いいわけです。

家賃・固定費・光熱費・税金などを法人カード払いにすれば年間のポイントで事務用品分の経費になり得ます。

おすすめの法人カード

法人カード最初の一枚ならこれ、というカードを紹介します。

JCB法人カード

個人事業主または小規模法人用。

JCB一般法人カードなら年会費は1,250円+税(初年度無料
(追加カードも年会費がかかります。)
リーズナブルなのですがスペック的には個人事業主向けですね。

法人用にはJCBゴールド法人カードでしょうね。
限度額からすると小規模法人向けです。

JCBゴールド法人カード JCB一般法人カード
券面
年会費 10,000円+税
初年度無料
1,250円+税
初年度無料
追加カード年会費 3,000円+税/枚 1,250円+税/枚
ETCカード 複数枚発行OK
ETC年会費無料
限度額 50万~250万円 10万~100万円
海外旅行保険 最高1億円(一部利用付帯) 最高3,000万円(利用付帯)
国内旅行保険 最高5,000万円(自動付帯) 最高3,000万円(利用付帯)
ショッピング保険 最高500万円(国内/国外) 最高100万円(国外)
ポイントプログラム キャッシュバック型 ポイント型 キャッシュバック型 ポイント型
カード特典 ゴルフ場予約サービス(全国約1,200ヵ所の有名ゴルフ場のプレー予約を法人デスクが代行)
空港でのラウンジ利用が無料
特典なし

オリコ EX Gold for Biz

個人事業主または小規模法人用。

オリコ EX Gold for Bizは個人事業主用と法人代表者用の2種類のカードが用意されています。

年会費はゴールドカードなのに2,000円+税 (初年度無料)。
うれしいのは追加カードの年会費が無料。

個人事業主用のタイプS

法人代表者用のタイプM

EX Gold for Biz S
iD×QUICPay
EX Gold for Biz M
iD×QUICPay
対象 個人事業主 法人代表者
年会費 2,000円+税 (初年度無料
追加カード なし 3枚まで発行可
(年会費無料)
ETC発行枚数 1枚 各カード1枚
(追加カード1枚に付きETC1枚)
ETC年会費 無料
キャッシング機能 あり なし
電子マネー Mastercardブランドは「Mastercardコンタクトレス」、
Visaブランドは「Visaタッチ決済」
限度額 10万円~300万円
国際ブランド VISAあるいはMastercard
海外旅行保険 2,000万円
国内旅行保険 1,000万円
ショッピング保険 最高100万円
特典 空港ラウンジが使える。
国内主要空港とハワイのダニエル・K・イノウエ空港(旧ホノルル空港)、韓国の仁川空港のラウンジを365日無料で利用できます。
ポイントプログラム オリコ「暮らスマイル」
EX Gold for Biz会員は利用金額スマイルに20%加算
支払い方法 1回払い、分割払い、据置き一括払い、リボルビング払い

主な違い

タイプSは追加カードが作れませんがキャッシングは出来る。
一人でやっている個人事業主用です。

タイプMは追加カードが3枚まで作れるがキャッシングは出来ない。
社員用の追加カードが作れる2、3人規模の会社用です。

個人カード、法人カードの違い」まとめ

個人カード 法人カード
審査対象 個人 法人(会社)または経営者個人
限度額 小さい 大きい
引き落とし口座 個人口座 法人口座
経営者個人口座
屋号口座
経費の支払い 立て替えになるので清算が必要。
仕訳も面倒になる。
そのまま使える。
追加カード 家族カード・ETCカード 社員カード・ETCカード
付帯サービス 旅行損害保険など 旅行損害保険など
ビジネスに特化したサービスが優待利用出来る
キャッシング・分割払い・リポ払い ある 基本的になし
ポイント還元率 0.5〜1.25% 0.5%

法人口座を引き落とし先にして事業用にクレジットカードを作るなら法人カードがマストです。

個人事業主が個人口座で使う場合もプライベートとは別の口座を作ってそこを引き落とし先にした法人カードを作るのがいいと思います。

口座もクレジットカードも個人と法人を完全に分けた方がすっきりして税の申告のときも助かります。

法人カードを検討している方は早めの発行をおすすめしますよ。


以上「クレジットカード「個人カード、法人カード」の違いを徹底的に解説」という記事でした。
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